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認知症相談センター

少しでも楽になれるように「引き算方式」介護をご提案します!
例えば、入浴してくれない・薬を飲んでくれない・ご飯を食べてくれない等のお悩みに、ケアマネージャー・カウンセラー・認知症ケア専門士が「引き算方式」のご提案をします。
日本エルダリーケアサービスの認知症相談センター
行き場をなくしている認知症の方とそのご家族が、どんな場面でも穏やかにそこにいられるよう、認知症に携わる全てのかたが少しでも楽になれるよう、この「引き算方式の認知症介護」をご提案させていただきます。
「認知症」は理解しがたい病気と考えられ、世間から敬遠されがちです。疲弊した家族を支援し、「認知症ケアのプロ」を目指して、更なるスキルアップをはかっています。
当センターは認知症対応型の「デイホームゆりの木中野」を併設しており、カウンセラー・ケアマネージャー・認知症ケア専門士など専門資格を持つスタッフが相談に当たっています。
まずはお気軽にご相談ください!お問い合わせフォーム

認知症とは

「認知症」とは、「いったん正常に発達した知能(脳)に何らかの原因で記憶・判断力などの障害が起き、日常生活がうまく行えなくなるような病的状態」を言います。
認知症の症状は、本人はもちろん、周囲の人たちの気づかないところで徐々に進行しながら現れてきます。
物忘れがある
記憶障害はつきもの※タイプにより異なる
今までできたりわからなかった事が、出来なくなり、分からなくなる
失語・・・
口に異常がないのに、言いたい言葉が出ずに「あれ・それ」が多くなり、後に「ううっ・ああっ」などの発生になったり、相手の話す言葉の意味が理解できなる言語の障害です。
失行
手足に異常がないのに動作・行為ができなくなる障害です。例えば「パンツははくもの」だという意識がなくなり、手を通して着ようとしたり、頭にかぶってみたりします。
失認
眼が見えているにもかかわらず、正しい認識ができない状態です。例えば台所の隅をトイレだと思って、用をたしてしまったり、自分の妻を母親だと思ってしまう障害です。
遂行機能障害
計画を立てて行動したり、順序良く物事を実行できなくなる障害です。例えば献立を考えながら買い物をすることや、料理ができなくなります。
日常生活に支障がでる
認知症の判断には世界共通の基準があります。勝手は判断は危険です。必ず医師や専門家にご相談ください。

認知症のタイプ

認知症にはいろいろなタイプがあり症状も異なります。したがって対応も異なり、安定を図るつもりが逆に不穏を招くこともあります。

アルツハイマー型認知症

原因
異常なたんぱく質が脳に蓄積することで神経細胞が死滅し、萎縮していく病気です。引き起こす原因は多数あると言われています。
特徴
  • 知的レベルの低下は全体的で緩やか
  • 病感はほとんど無し。早期に人格崩壊が始まる。
  • しばらくして失禁症状、トイレ以外で用を足すことが増える。
  • 後期になると言語が不明になり、会話も困難になる。

血管型認知症

原因
脳梗塞や脳卒中によって、脳の神経細胞が死んでしまうことで起きる病気です。
特徴
  • 部分的に知的レベルが低下(斑ボケ)
  • 早期に失禁症状。汚物をかくす行為も
  • 軽度の病感があり、「死にたい」と言う事も
  • 相手の話に合わせボケ具合を隠すことも

びまん性レビー小体型認知症

原因
脳の神経細胞内に「レビー小体」という特殊な構築物ができ、脳全体に点在していく進行性の病気です。
特徴
  • 多くの場合、パーキンソン症状を伴い、動きが緩慢に
  • 妄想・幻視が顕著に。現実離れの話が増え作話状態に
  • 記憶障害は比較的軽度のため、事実と作話の区別が困難に
  • 症状に波。症状が出ない時も。寝ぼけ・寝言がある場合もあり

ピック症

原因
主として前頭葉の萎縮が顕著。長年かかって進行する病気です。
特徴
  • 若年性認知症のひとつ
  • 意欲障害、性格変化が目立ち、人格障害をきたす
  • 短期記憶は比較的保持。多くの場合は同じ言動を繰り返す
  • 反社会的な言動が増え、周囲を振り回すように

認知症の中核症状と周辺症状

物忘れ=認知症だと思われがちですが、その他にも様々な症状があらわれます。
脳の障害どおりに、誰にでも起こる中核症状と、体調や対応・環境の変化で起こる周辺症状(BPSD)があります。周辺症状は、誰にでも起こるとは限りませんが、今までできていたことができなくなった不安や焦りから、徘徊・妄想・暴力としてあらわれます。
中核症状は必ず発生します。認知症である以上中核症状の発生を抑えることはできない。
周辺症状は人によって出たり出なかったりと異なります。

引き算介護とは

認知症状の足し算と引き算
足し算の世界から引き算の世界に入っていく病気です。
「認知症」はそれまで蓄積された知能が失われ、日常生活に支障をきたす病気です。
生まれてから親、学校、職場などで知能を積み上げ、人柄を形成してきた人生を「足し算」とします。認知症になると知能を積み上げることが困難になり、逆に知能がこぼれていきます。これを「引き算」と考えます。
認知症は「足し算の世界」から「引き算の世界」に入っていく病気とも言えます。
同じ世界に立つことが大切
足し算(現実・事実)は現在を認識できないかたにとって足し算の対応は不穏材料となり、押し問答が続くだけです。引き算の世界に立つ、言わば「ウソ」ですが、その結果、穏やかな時間と笑顔が生まれます。
「足し算の世界」に居れば自分の歳、居る場所、行動などの情報が正しく届きますが、「引き算の世界」では不確かになります。「引き算の世界」に居る方には「引き算」でお付き合いすることが大切であり、何よりの安定材料なのです。
「ウソ」を私たちは「引き算」や「知恵」と呼び、大切に扱ってきました。その結果、多くの笑顔を頂くことができました。これこそ「ウソから出たまこと」だと考えています。

安心、安定、安泰のための10か条

認知症介護が少しでも楽になるよう「安心・安定・安泰のための10か条」をご提案します。
※ご覧になりたい下記項目をクリックしてください。

「昔のことは忘れた」お年寄りはよく言います。たった3分前のことをすぐ忘れるにもかかわらず、昔のことは良く覚えているのが「認知症」です。加齢によって昔のことを忘れていくのは自然のことですが、「認知症」は直近の記憶・事柄から消えていきます。

「引き算の世界」に入った元大学教授。記憶が遡りまだ教授だと思うように…。
彼の安定を図るためには、一緒に「引き算の世界」にお付き合いすることです。

イラスト01

認知症は「忘れる病気」。さっき言ったこと、聞いたことを忘れて何度でも言います。それに答えて足し算を繰り返すのは、ザルに水を溜めるようなもので、聞く方も言う方もストレスになります。ならば「引き算方式」で双方の安全と安心を確保するのが賢明です。

「引き算の世界」に入った元八百屋さん。今でも運転が大好きで毎日車に…。
危険なので運転するのを止めさせたい、「引き算方式」で解決しましょう。

イラスト元八百屋さん

元八百屋さん(80歳)

認知症になるまでは、毎日元気に車で築地まで仕入れに通ってました。運転が大好きで得意気でした。八百屋を引退したのは5年前。認知症によりお金の管理ができなくなったからです。その時、車のカギと免許も取り上げました。しかし本人はまだまだ現役のつもり。朝起きると「カギと免許」が第一声。大好きな運転をしたいみたいですが、危険なのでそうもいきません。押し問答で家族の疲れはピーク、さあどうしましょう?

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何とか説得したくても、押し問答で全然解決しません

引き算方式で解決

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こんな貼り紙を作ってみました

もちろん警察からこんな通達は来ていません。
最初は「そうなのか?」と怪訝そうにしていましたが、加えて息子さんの「最近、高齢者の交通事故が増えてきたから禁止になったみたいだよ」という言葉で納得するようになったそうです。
これを2〜3日も繰り返してみると、首をかしげつつも、運転するのをあきらめてくれるようになりました。

「説得」は、ダメな「足し算」

認知症の方が、なぜそのような行動をとるのか理解するためには、その方の「生き様」をまず考えてみてください。認知症の症状は、ほとんどのケースで生きてきた経歴・痕跡があらわれます。あらわれかたは仕事面・親子関係・年代など様々ですが、これが介護上大きな手がかりとなります。

「引き算の世界」に入った元お肉屋さん。ある時、包丁を手にとって…。
孫嫁さんは「認知症に刃物、怖い」と思ったそうです。本当の理由は果たして…

イラスト元お肉屋さん

元お肉屋さん(82歳)

とっても働き者だったお肉屋さん。5年前にお店をたたんでから物忘れが始まったそうです。「認知症」と診断されて、今でも「包丁を研ぐよ」とか「はい、お釣りね」とお肉屋さんになりきってる時があるそうです。ある日、その方の孫嫁さんから認知症専門相談員に電話が入りました。「義祖父が包丁を振り回してる」とかなり慌てていました。彼は本当に家族に危害を与えようとしてに包丁を握ったのでしょうか?

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このような事態に陥った原因はどこにあるのでしょうか?

引き算方式で解決

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その方の生き様を考えること

「生き様=肉屋だった事」を忘れ、「危ない」という理由だけで包丁を置かせようとしてしまった事です。「肉屋だった事」を思い出せば、彼が「仕事をしている事」に気づいたはずです。それをふまえ、例えば「おじいちゃんは働き者ね。少しは休んで下さい」と引き算で肉屋にしてあげ、「お茶にしましょう」などと誘ってみれば、きっと納得し、包丁を置いてくれたはずです。

生き様の方向に引いてみる

すぐに忘れるのが認知症という病気です。その方の脳が判断したことが、その方にとって正しい事実なのです。その方の言ってることと現実が違っていても、安心・安定・納得させてあげるには、その方にとっての辻褄を合わせてあげる必要があります。

「引き算の世界」に入ったハナコさん。昔から自分の意見は曲げない人でした。
30分前にご飯を食べたのに、お嫁さんと「食べた」「食べてない」の押し問答…。

イラストハナコさん(85歳)

ハナコさん(85歳)

かわいい名前のわりに意地っ張り。ご飯を食べた30分後には、「ご飯はまだ?」の繰り返し。お嫁さんは「さっき食べたでしょ」と言い聞かそうとしますが、ハナコさんの空腹感は増すばかりで、口調も次第に厳しくなっていきます。逃げ出そうとしても、しつこく後を追いてきて「ご飯はまだ」を繰り返します。手を変え品を変え「ご飯を食べたこと」を理解させようとしますが効果はありません…。さて、どうしましょう?

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「食べてない」ので食後の茶碗や一筆との辻褄が合わないのです

引き算方式で解決

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その方の辻褄を合わせてしまう

その方にとって「食べてない」ものは「食べてない」のです。辻褄を合わせるために「ご飯を食べる」方向で考えましょう。例えば「炊飯器のスイッチ入れ忘れてた」などの一言で少し待ってもらいます。「もうできたでしょ」とつっこまれる心配はありません。30分前のことを忘れる方が、ご飯が炊き上がる小1時間の間の事を覚えてはいないでしょう。堂々とやることが肝心です。

言い分は「絶対」なのです

私たちは話を理解する時、点のような一言であっても線でつないで納得することができます。しかし、認知症の方は点を結ぶことができません。話す時は短く、端的に。また「危険・故障・出口・禁止・便所」などの漢字は、既に生活の中で記号化・印化し、「約束事」として体が覚えているため、仮に読めなくても意味は理解できます。

「引き算の世界」に入った元大工さん。1日何度も風呂に入り、ふやけるほどに…。
高血圧のこともあり、入浴を何とか1日1回に。解決方法は「点で一言」です。

イラスト元大工さん(78歳)

元大工さん(78歳)

認知症になると風呂嫌いになる場合がありますが、この方は逆で、毎日体がふやけるほど何度も入浴。約10年前に大工の棟梁を引退しましたが、若い頃から「ひと仕事終えて、ひと風呂浴びて、ビール」という生活を楽しんできました。「風呂は美味いビールを飲むための儀式」のような感じで体に染み付いているため、入浴を繰り返しているのではないかと。体のこともあるので、入浴は1日1回にしてほしいものですが…。

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体のこともあるので、1日何度も入浴するのをやめさせたい

引き算方式で解決

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いかに端的に「点」で理解させるか

浴室のドアに「本日停電」と書いた紙を貼っておきました。すると、脱衣所の電気はしっかり点いているにもかかわらず、「今日は停電か〜」と、お風呂に入るのをあきらめてくれました。 身体に染み付いている約束事は、たとえそれが読めなくても瞬時に意味を理解します。「高血圧だからお風呂は1日1回にしましょう」などと論理的な足し算で説得しても改められないでしょう。

身体が覚えている約束事で

高齢者、特に認知症の方は自分の体内スケジュールで行動する場合があります。例えば真夜中であれ昼間であれ、太陽や月に関係なく目が覚めた時が「朝」だと思い、また雨戸を締めただけでも暗くなると「夜」だと思ったりします。そんな時も無理強いは禁物です。

「引き算の世界」に入った元営業さん。目が覚めたときが「朝」だと思うように…。
今日も深夜2時に「会社に行く」とききません。引き止めようと無理強いしたら…

イラスト元営業さん(78歳)

元営業さん(78歳)

印刷会社の元営業さん。働き者で60歳の定年まで無遅刻・無欠勤。定年後も家に居るのが苦痛なようで、よく出かけていました。しかしある時から物忘れが始まり、家に戻れなくなることもしばしば…。そのうち「会社に行く」と言うように。今日も夜中の2時に目が覚め、出勤しようとしています。この方にとっては目が覚めたときが「朝」なのです。奥さんは引き止めようと努力しますが、結果は散々…。さて、どうしましょう?

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気持ちは分かります。でもケガをしたら元も子もありません。

引き算方式で解決

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使うのは「穏やかな手立て」

「目が覚めたときが朝」だと思っている方に対して「朝じゃない」と無理やり納得させることは困難です。今回の場合も、夜中の2時だろうが目が覚めたので、彼には「朝」なのです。仕事人間だった彼にとっては、出勤する時、奥さんに引きとめられたら拒むのは当然です。例えば「今日は日曜日で会社も閉まってますよ」のような引き算の一言があれば穏やかにおさまったはずです。

無理強い・強引は通らない

認知症介護において、誰もが現実・事実を理解させようとしがちですが、それは不安を煽るだけ。せん妄を起こして大騒ぎになることがあります。「ウソも方便」、引き算で治めましょう。

「引き算の世界」に入った元看護婦さん。なぜか「カギ」と「遠足」にこだわりが…。
現実を分からせようと頑張ったら泣き出してしまいました。さて、どうしましょう?

イラスト元看護師さん(59歳)

元看護師さん(59歳)

看護師の退職を控えた頃から、若年性のアルツハイマーに。お孫さんを娘さんと取り違え「娘が帰るからカギを開けなきゃ」とか、予定もないのに「明日は娘の遠足」などと言うように。娘さんに理由を聞いたところ「カギ」は娘さんを「カギっ子」で育てた事が理由のようですが、「遠足」については不明。ともあれ、この方の現実は「カギ」と「遠足」にこだわりがあるようです。であればそれが安定剤になりうるかもしれません。

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現実を分からせようとすると「カギがない」と泣いて暴れました

引き算方式で解決

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ウソが安定をつくりだします

引き算の世界にいる方たちにとって、正直に現実・事実を分からせようとしても困難です。今回の場合は「娘が遠足なの」という彼女の世界に合わせて「遠足のバスが遅れるそうです。また娘さんはお弁当を食べてくるので、お母さんも昼食をとって待っていて下さい、と連絡がありました」という「ウソ=引き算」によって安定をはかることができます。まさに「ウソも方便」です。

事実と現実は役立たず

体に刻み込まれた記憶は頭で覚えた記憶と違い、何年経っても、たとえ認知症になったとしても残っていることが多いものです。それが元で実際の現実とのズレを生じさせる場合がありますが、そこは「知恵比べ」です。その方を上手く誘導するために「知恵」を使ってみましょう。

「引き算の世界」に入ったイシさん。デイサービスの昼食を食べてくれません…。
小さい頃にきつく躾けられたことが理由のようです。さあ知恵比べです。

イラストイシさん(80歳)

イシさん(80歳)

デイサービスのお昼の時間。イシさんに昼食をすすめると「帰りますので結構です」と拒否。「食べてから帰ればいいから」と言っても「母が待ってますので結構です」とまたも拒否。ご両親は数十年前にすでに他界し、今は娘さんと二人暮らしなのですが、小さい頃に厳格な父親から「よそ様のご飯時には物欲しそうな顔をせず家に帰ってきなさい」と躾けられた記憶が残っている様子。何とかご飯を食べてほしいのですが…。

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よそ様の食事だと思っているようで、食べずに帰ろうとします

引き算方式で解決

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家から届いたことにしました

ご飯をお弁当箱に詰め替えて「お母さんが届けてくれましたよ」と一言。母親はすでに亡くなってますが、彼女の中ではまだ健在の様子。「よそ様の食事」ではなくなったからでしょうか、何事もなかったかのように、お弁当箱に詰め替えた食事を食べています。食べ始めてしまえば、後は誰が作ったものなのかは関係ないようです。全ては最初の一歩・導入が肝心なのです。

知恵を有効活用する

「誰かの役に立ちたい」そう思うことは認知症の方であっても同じです。あえて好きなこと・できることをやってもらう。一見こき使うようであり疑問視する声もありますが、経験上、作業後の爽やかな表情は、認知症であるということも忘れさせてくれるほど素敵なものです。

「引き算の世界」に入った方たち。でも何もできなくなったのではありません…。
あえて作業をしてもらい、労をねぎらう。それだけで元気になってくれます。

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それぞれの得意分野で腕を発揮すると生き生きします

引き算方式で解決

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「ありがとう」で更に輝く

作業終了後、「ありがとうございました。助かりました」と労をねぎらってあげると、とても喜んでくれます。「人の役に立ちたい」という気持ちは変わらないようです。火傷や墨のはね、針や鋏の危険性など懸念材料はありますが、それでも作業後の「やった感」による爽やかな表情は変えがたいものです。思わず「このまま時よ止まれ」と願ってしまうほどです。

働かせることがケアになる

認知症の方はすぐ忘れます。人の顔も名前も、会ったことがあるかないかも忘れます。それを上手く利用するのもひとつの手です。とっさの引き算・判断が必要になってきますが、認知症の方を守り、良い解決の方向に持っていくために「忘れること」を上手に使いましょう。

「引き算の世界」に入った民子さん。何やら看護師さんともめてる様子…。
面識はありませんでしたが、「忘れること」を利用して無事解決!

イラスト民子さん(86歳)

民子さん(86歳)

ある冬の病院の入院棟。ソファベンチにバスタオルのようなものを抱いて座っている方がいました。そばには看護師さん。「ここに居ると風邪ひくよ」「寒いからお部屋に行こう」と泣きそうな顔で必死に説得しています。確かにパジャマ一枚、素足に室内履きで風邪をひいてしまいそう。この方と面識はありませんでしたが、室内履きに「民子」という文字。「忘れる」を利用した、とっさの引き算が功を奏したようです。

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頑としてベンチから動こうとしてくれません

引き算方式で解決

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「知人」のふりで空気を変える

室内履きには「民子」の文字、バスタオルは赤ん坊を抱くような感じ。そこで「民子さんお久しぶり。今日は赤ちゃん連れ?それは大変、早くお部屋に戻らないと風邪をひくわ」と穏やかに一言。すると笑顔で部屋へ。初対面でしたが「お久しぶり」の言葉で知人だと思ってくれたようです。この場合、整合性は関係なく、看護師さんと違うトーンで空気を変えたことに意味があります。

「忘れること」を忘れない

困ったときの対応事例

認知症介護において「困りごと」はあとを絶ちません。引き算方式で乗り切った「困りごと事例」を参考にしていただければ幸いです。
※ご覧になりたい下記項目をクリックしてください。
  • 歯が無いことを気にしていたので、「歯が生える薬ですよ」と言って渡した。
  • 錠剤を色のキレイなマーブルチョコと混ぜて、「みんなには内緒ね」と言って渡した。
  • 「お薬ですよ」とは言わず、「ビタミン剤・栄養剤です。元気が出ますよ」と渡した。
  • 「お風呂はいいので、パンツだけ脱いでもらえます?」と一言。パンツを脱いだ後「これじゃ裸になっちゃうよ」と言いつつもそのまま浴槽へと向かってくれた。
  • 「背中に薬を塗るので服を脱いでください。こちらでパンツもどうぞ」と脱いでもらったら 「ああ風呂ね」と入浴してくれた。
  • 「今日は恒例の体重測定です。厳密に計るのでパンツも脱いでください」と一言。 全部脱いだところで浴室へ誘導した。
    ※脱衣や移動の間に忘れるので、多少不信がられても自信を持って行ってください。浴槽を前にすると、大抵の方は自然に入浴します。
  • 「醤油が足りないから買ってくる」などと買物に出かけるふりをし、「物騒だからカギだけは閉めておいてね」と施錠してもらって外へ。そのうち待つことも忘れた様子。
  • 「働かないと食べていけないから仕事にいってくる」と一言。すると「頑張って」と送り出してくれた。
  • 「あらどうしたんでしょうね〜」と、その都度のらりくらりと対応するのが無難。たとえ発見しても 本人が見つけられるように誘導し、「見つかって良かったですね」と一緒に喜ぶことが大切。
  • 「ヘルパーさんが盗った」と言い張って攻撃までしてくる場合は、無理をせず他のヘルパーさんと交替した方が無難。
  • フレンドリーな言葉が誤解を招いたと感じたため、丁寧な言葉に変えたら一歩距離を置くことができた。
  • 「〜さんは立派ですね」「〜さんの奥様(ご主人)は立派な方ですね」と仕事やパートナーのことを褒めたら自慢話にかわり、手を出すのをやめた。
  • 「その服素敵ですね」「いつもオシャレですね」と褒めちぎると急にオシャレさんに変身。 そして自慢話になり、セクハラが無くなった。
  • 「近くを通ったので寄っちゃった」「会いたくなったので来ちゃった」と言うと、喜んで入れてくれた。
  • 「トイレを貸して」と入れてもらい、「お礼に掃除させて」とサービスを開始した。
  • 配食サービス業者と相談し、ヘルパーさんが代わりに「お弁当を届けにきました」と中へ。しばらく続けているとスムーズに中に入れてくれるようになった。
  • その方が信頼している病院・主治医の名前を出し、「〜病院の〜先生が心配して、様子を見てくるように言われた」と中に入り、「先生にお手伝いをしてくるよう言われた」とサービスを開始した。
  • 「近所でガス漏れ事故がありました。お宅のガスも点検させて下さい」と中へ入った。
  • うずらの卵大のおにぎりにする、串に刺す、弁当風にするなど、見た目を変えてみた。また量が多いと嫌悪感を感じるようなので、できるだけ少量に見えるように工夫した。
  • ひとつの皿に盛り付けたり、ふりかけ・タレなどでご飯に味をつけたり、色をつけたりしたら食べてもらえた。
  • 「まもなく下水の工事で断水します。早めにトイレに行ってください」と促した。
  • 「休憩後出かけるので、トイレに行っておいて下さい」と促した。
  • 「トイレが2つしかないので早い者勝ち。混まないうちにお早めにどうぞ」と促した。

認知症相談センター

当センターでは、カウンセラー・ケアマネージャー・認知症ケア専門士など専門資格を持つスタッフが相談に当たっています。ご家族はもちろん、介護従事者にもご利用いただいております。また認知症対応型「デイホームゆりの木中野」も併設しております。
住所 〒164-0011 東京都中野区中央1-13-8 大橋セントラルビル1F
運営 株式会社日本エルダリーケアサービス
併設施設 デイホームゆりの木「中野」(認知症対応型通所介護)
連絡先 ninchisyou-soudan@elderly.jp
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